2019年12月03日

Posted by goodbooks
at 21:49

豊田自動織機

なぜなぜ分析「5なぜ」 (元)豊田自動織機 石川君雄氏

・ナットク現場改善シリーズ よくわかる「5なぜ」の本
石川君雄氏(著)/日刊工業新聞社/151ページ

著者は、(元)豊田自動織機の石川君雄氏です。氏はよくわかるシリーズで他にも著書があり、トヨタ式の製造現場のノウハウを世の中に教えられている先生です。

この本の特徴は、単になぜなぜ分析の進め方を説明する本ではなく、なぜなぜ分析が製造現場の問題解決を俯瞰して解説し、そのなかでなぜなぜ分析の必要性を説明した上で、具体的に、なぜなぜ分析の進め方を説明している点です。なぜを5回繰り返すという理由も具体的に説明されていて、5回のなぜについては、それぞれのなぜに意味を持たせていることを知って理解が深まりました。

なぜなぜ分析自体の進め方は、マネジメントダイナミクスの小倉氏の本をご紹介しました。手法の詳しくはそちらの本も分かりやすいと思います。一方で今回の本は、現場の5Sや特性要因図や連関図などのQCの手法の解説もあるので、問題解決の色々な考え方も理解できます。また著者の専門的な経験や知識から分析された知見が紹介されています。一方で、紹介されている事例は少しシンプルな感じがしますが、現場の分析事例としては分かりやすい内容です。

なぜなぜ分析だけの内容かと思っていたら、この書籍の後半はQC(品質管理)とKM(ナレッジマネジメント)との関係を説明されていて面白いですね。ナレッジマネジメントは知識の創造とその活用であるという話があり、QC活動との相違点が述べられています。野中郁次郎氏のSECIモデルを取り上げて、改善活動においてどのように知識を抽出していくのかについて説明されて、QC活動への生かし方が提案されています。ナレッジマネジメントとQCについては、以前、構造化知識研究所のSSMや知識の構造化の本でも紹介しましたが、この本では現場の場のマネジメントの視点から知識の創造、共有、活用を話されています。構造化知識研究所の田村氏と同様にITツールの前にどのように良い知識を作るかということに注目しているように感じました。

日刊工業新聞社のよくわかるシリーズは内容が実践的で良い本が多いと感じます。お勧めですね。








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